水草のカリウム過多、不足時に発現する症状とKH上昇時の症状が似ているわけ

水草のカリウム過多、不足時に発現する症状とKH上昇時の症状が似ているわけ

 水草を育成しているとよく見られる症状の一つにグリーンロタラの成長点付近の萎縮があります。でこの萎縮問題ですが実は2hrの液肥やトロピカの液肥を添加している人の水槽ではまずほとんど見ることはありません。

ところが「自作カリウム液肥」やADAのカリウム液肥だと萎縮がよく発現します。

萎縮が発現すると「カリウム単体で与えてるからカリウム過多になったかも」と考えがちですが、おそらく9割はカリウム過多ではないかもしれません。

なぜならほとんどの水草はカリウムを贅沢吸収し、体内に蓄積させることが出来るのです。そのためカリウムは許容範囲が大きく、滅多に過剰害が発現することはないです。

またカリウムを添加し続けているにも関わらずカリウム欠乏症状が発現した場合、それは飼育水のKHが上昇しているのかもしれません。

KHの上昇はソイルの寿命が切れ始めた時に良く起き、カリウム欠乏または過剰とかなり良く似た症状を発現します。

KH上昇時の水草の症状とカリウム欠乏、過剰症状が似ている

KH上昇時によく見られる症状とカリウム欠乏、過剰時の症状はほぼ一致します。

これはどちらも水草や生体の浸透圧を支配しているからで、

・葉が波打つようにうねる。

・葉が縮れる

・成長点の萎縮

・根が茶色くなり根腐れを起こす

・葉が白化し虫食いのように壊死

どちらもこのような症状を発現します。

自作カリウム液肥によく使われる”炭酸”カリウムが水質に悪影響を及ぼす

2hrの液肥やトロピカの液肥などでは過剰に添加しても萎縮は起きないのに、なぜか自作カリウムや他の液肥だとちょっと多く添加しただけで萎縮が発現してしまう….このようなことがなぜ起きてしまうのかというとそれは「炭酸カリウム」を使用しているからです。

じつはこの「炭酸」がKHを上昇させ水草の栄養やCO₂の吸収を阻害して萎縮が発現してしまうのです。

・ソイルを使用している場合は、ソイルの陰イオン交換によって炭酸、重炭酸が吸着され2~4日もすれば水草は何とか立ち直れるもののダメージは相当大きく、途端にコケが蔓延したりもします。

・また古いソイルや砂利底床だとKHの低い水で換水するかテトラpH/KHマイナスなど使い何かしらの方法でKHを下げない限り一向に萎縮は治りません。

CO2を多めに添加するとカリウム過剰症のような白化が発現

こちらも実はKHが作用している症状です。

成長点からじわじわ拡大し全体的に白化が広がります。

炭酸塩が混入している水槽にCO2を添加すると炭酸塩が溶けKHが上昇し、わずか1,2時間で白化してきます。

筆者の経験では1日当たりたった0.03dKH上昇しただけでも白化したり萎縮が発現したりします。

このわずかな上昇はセラKHテストなどの試薬で測定してもまず判別つかないでしょう。(1週間単位の測定なら分かるかも)

2hr wayを実践されてる方はpHモニターで判断できるかもしれません。

CO2をpH降下法でpH1下げ、例えばpH5.5だった場合、次の日に同じ量のCO2を添加してもpH5.7までしか下がらなかった場合、ほぼ間違いなくKHが上がってるハズです。

初めは「あれ?CO2の添加量変わったのかな?」と考えさらに添加量を多くしてしまうかもしれません。がこれが次第にKHの上昇を加速させてしまう可能性も。「CO2の添加量増やすと水草がどんどん白化していく~なんで~?」「急に水草やガラスにコケが増殖してきた!」とあれこれ悩んでしまうことになりかねません。

悪影響を及ぼす炭酸が副成分になってるもの

というわけで萎縮の原因はカリウムそのものではなく副成分である炭酸によってKHが大きく変動している可能性が高いことは分かりましたでしょうか?

炭酸が副成分のものは意外と多い:
・カキ殻(貝殻)
・竜王石
・卵殻
・苦土石灰(炭酸Ca、炭酸Mgまたはク溶性と表記があるもの)
・リキダス
・サンゴ(大磯砂に混入していることが多い)
・水道水(浄水)
・水酸化鉄リン酸吸着材
・炭酸カルシウム系リン酸吸着材
・脱窒作用(わずかに重炭酸イオン生成)

なるべくこういうのは水槽に入れないようにしましょう。

萎縮の原因は他にもあるけどカリウムの過剰で起きることはまれ

ここまでの説明で萎縮はKHの変動によるところが原因の場合が多いです。なんせKHの上昇はすべての養分吸収をシャットアウトしてしまうからです。

KHは生体浸透圧に影響し極端に上昇すれば、生体細胞から養水分を奪おうと作用します。

KHの上昇は水草水槽に塩を大量に入れたようなものです。

また萎縮はKHの変動以外にも発現します。

・CO₂、酸素濃度が不安定

・底床肥料が極端に少ない(砂利底床が多い)

・pH/KHマイナス添加後、炭酸塩の副成分が過剰になって発現

とこの3パターンで発現することも。

カリウムの過剰で萎縮が起きるのはまれですが、筆者の経験ではphkhマイナス添加後炭酸塩が中和されマグネシウム過剰でカリウム欠乏症になり萎縮が起きたことはあります。

カリウムをどれぐらい添加すればマグネシウム不足になる?

この水槽の換水は2週間に1回8割以上換水します。2週間APT3×5プッシュ APT1×2プッシュ与え続けたことがありますがカリウム過剰は発現しませんでした。(APT3とAPT1のカリウム含有量は同じ)
この水槽の換水は2週間に1回8割以上換水します。2週間APT3×5プッシュ APT1×2プッシュ与え続けたことがありますがカリウム過剰は発現しませんでした。(APT3とAPT1のカリウム含有量は同じ)

多めに添加してもカリウム過剰症は発現しにくいですがマグネシウム不足ならたまに筆者の水槽でも見られます。これはカリウムとマグネシウムが拮抗関係にあるからですね。

ではカリウムをどれぐらい添加すればマグネシウム不足になるのか考察してみましょう。

APT1(ZERO)を例に挙げると、APT ZEROは1プッシュ(1ml)でカリウム76mg水槽に入ることになります。これを水量155ℓの90cm水槽に入れると1プッシュで0.49ppmとなります。

これを毎日7プッシュ与えると1日3.43ppm添加したことになります。

水草のカリウム要求量は底床面積に対し7割以上植え付けた場合、生育具合にもよりますが1日2~3ppm程度になるようです。

高濃度と言われるAPTシリーズですが、7プッシュ2週間与え続ければ換水まえには6~20ppmぐらい残留することになります。

2hrを実践している場合、GHを5~7に維持している方が多いと思います。

この場合、拮抗関係にあるマグネシウムもAPT1、3に1プッシュ当たり10mg添加することになるので2週間7プッシュ添加すれば155ℓ水槽に6.2ppm添加したことになります。なのでGH5~7だと2週間後のMg残留は6~15ppmぐらいになるのではないでしょうか。

カリウム:マグネシウムは当量比で1:2のバランスが必要のようですが、当量比だと分かりにくいので重量比に換算すると1:1ぐらいです。(あまりシビアにバランスとらなくても大丈夫です)

先ほどの例だと7プッシュ添加2週間後の残留は

カリウム6~20ppm

マグネシウム6~15ppm

ぐらいになるので2週間後でも約1:1をキープ出来ているんじゃないでしょうか?

高濃度と言われるAPTシリーズでも2週間経過でバランスが取れているので、もしこれでもカリウム過剰になったという場合、もしかするとソイルのせいでGHが1~2とか極端に下がりすぎていませんか?

筆者もたまに換水前ぐらいにマグネシウム欠乏が見られることがありますが、その場合にがり(塩化マグネシウム)を添加し、水槽のマグネシウムを1ppm上昇させればすぐに治ります。