砂利底床の水草を健全に育成するには初期肥効(元肥)をいかに効かすかが重要

砂利底床の水草を健全に育成するには初期肥効(元肥)をいかに効かすかが重要

あなたは水草を植え付け後の初期の肥効を意識していますか?

ADAや2hr方式で水槽を立ち上げる方や肥料分の多いソイルを使っている方は意識されていると思いますが、繫茂して差し戻しするときや根元からトリミングするときなどに意識的に底床に追肥する方は少ないとおもいます。

これは有機栽培をされている農家さんたちも意識しており、作物を健全に育てるために農家さんが意識してやっているのが、苗を植えた初期の肥効。植物は初期にしっかり肥料が効くかどうかでその後の生育が大きく左右されるといっても過言ではありません。

有機農業を実践する農家さんでさえ「初期肥効が遅れると健全に育たないから」と化成肥料を元肥に仕込む方がいるぐらい大事な要素なのです。

分かりやすいのがキャベツやレタス。これら結球野菜はとくに顕著で初期肥効が遅れてしまうと後から追肥しても元葉が大きく作れず結球しなくなってしまいます。

初期肥効(元肥)が遅れると水草はこんなことに!

水草は初期肥効が遅れると次のような症状になります。

・水上葉でも水中葉でも根の伸長が遅れ水質適応も遅くなりコケがついてきます。後から追肥しても成長はするもののなかなか健全な生育にならない。あるいは下から追い上げてくるコケとイタチごっごになる。特に成長が緩やかな水草ほどこの傾向が高い。

・赤くなるロタラがいつまで経っても赤くならない。

・差戻し、またはトリミングしてもロタラが半分ぐらいしか赤くならない。(下から赤くならない)

・APT SKY入れてカルシウムやホウ素が水中に十分にあるのに下位葉が落ちてくる。

他にも細かく挙げればいろいろとあるのですが、砂利育成されてる方の大半が経験しているだろうことを挙げてみました。(筆者ももちろん経験者)

初期肥効と水草の比較

さて初期肥効が遅れることで実際に水草はどんな成長になってしまうのか私の水槽のロタララモシオールフロリダサンセットを例に挙げてみましょう。

大食いのロタラ ラモシオール フロリダは顕著に現れる

初期肥効が遅れて下位葉が落ちたロタララモシオールフロリダサンセット
初期肥効が遅れて下位葉が落ちたロタララモシオールフロリダサンセット。前回ここに植えていた水草の肥料が残ってるだろうと追肥せず植栽してしまい失敗。あ、そういえばこの辺プロホースで掃除したこと、これ書いてる間に思い出しました。元肥仕込んで健全な先端を差し戻すしか方法はないですね。
初期肥効(元肥)がしっかり効くとその後の生育がスムーズ
初期肥効(元肥)がしっかり効くとその後の生育がスムーズ 脇目もしっかり下から出てくるようになる。この下にカミハタスティック睡蓮が4本分仕込んである。

初期肥効がしっかり効くかどうかはKHと貯蔵養分も大事!?

初期肥効が効果的に効くかどうかはKHと貯蔵養分も重要なカギを握っている。

KHは浸透圧にも作用するからだ。植物が養分の吸収、輸送をするときは半透膜を介して濃度差を作る必要がある。そのためKHが高かったり一定じゃない場合、細胞の再合成をしなければならず貯蔵養分もそれなりに必要で適応が遅くなる傾向がある。

KHが高い場合、水中葉より水上葉、そして水上葉よりもあなたが今育成している水草が何よりも適応が早い。

 KHが高い場合は貯蔵養分の少ない水中葉や組織培養苗より貯蔵養分の多い水上葉を植えると適応がスムーズにいくことが多いです。また筆者の観察では植え付けた水上葉は水中葉ができる前に根を伸ばしていることが多く、植え付け初期からしっかり肥効を効かすことができるし、肥料が効けばその水質への適応が速くなる傾向がある。

そしてなんといっても今あなたの水槽で育成されてる水草はそのKHに適応した水中葉だから再合成する必要もなく、なによりも適応が速いです。なので上手くいかない場合はあきらめずにできる限り健康な状態に持っていき元肥を仕込んで差し戻してみましょう。