砂利底床のロタラh`raを根元から真っ赤にするために

砂利底床のロタラh`raを根元から真っ赤にするために

ショップやインスタのような綺麗なレイアウトにチャレンジしたい!そのためにはどうしてもこなさなければいけない試練がある。それはロタラを根元から真っ赤に仕上げること。今でこそロタラ・レディッシュやロタラ・ブラッドレッドなど手間暇掛けずに赤くなる品種もあります。が、立ち上がりが強くて低い位置で維持しにくいですよね?

なので低い位置でボリューム感の出やすいロタラh`raのような品種がやはりレイアウトしやすいです。

そこでここではロタラh`raを低い位置から真っ赤に染める方法を掘り下げてみたいと思います。

よくあるCO₂の添加を多く…だとか高光量だとかはここでは述べません。

葉が赤くなる根本的な理由:葉で産生された炭水化物が余ってくるから赤くなる

砂利底床でもロタラh`raは低い位置で真っ赤に染まる
砂利底床でも条件を整えたら低い茂みのまま下から上まで赤く染まります。

さて「葉で産生された炭水化物が余ってくるから赤くなる」とはどういうことなのでしょう?

ロタラの葉が赤くなるのは巷で言われている「強い光が当たり防御機構が働いて赤くなる」のではないのです。確かに強い光が必要ではあるのですが、光合成を行う葉では防御機構とか無駄な機構ではないですか?せっかく強い光が当たってるんですから防御などせずにできる限りガンガン光合成して炭水化物を産生したいハズです。(リンゴとかの果物、果菜類なら分かりますけどね)

葉が赤くなるのは葉で合成された有機酸が鉄と結びつき赤い色になってくるのですが、この有機酸は葉で産生された炭水化物が原料です。

そしてこの有機酸がたくさん葉に貯まっていけばより濃く赤くなるわけです。そのためには光合成産物である炭水化物が余るぐらいたくさん作ってもらわないと葉に貯まっていきません。

炭水化物が余るとはどういうこと?水草が窒素をどのように利用するか知っておこう

水草に限らず植物の大半に言えることなのですが、植物体内に豊富に窒素があると植物は葉で産生した炭水化物を優先的に細胞の合成を盛んにし、有機酸ではなくアミノ酸を合成しようとするのです。

よく農家さんが「窒素を上げすぎると徒長する」「窒素を上げすぎると実の方に炭水化物が回らないから甘くならない」といった声を聞きますがこれが原因なんですね。

水草も水中に窒素がたくさんあると細胞の合成に炭水化物が使われてしまい、赤い着色料の原料である有機酸が葉に蓄積してこないのです。

じゃあ水中の窒素を制限すれば赤くなるのか?いいえ、残念ながらそれだけでは真っ赤にはなりません

ここで「じゃあ水中の窒素を減らせば炭水化物が余って赤くなるわけね」という答えが見えてきそうですが、じつはそんな簡単にはいかないのです。

なぜなら炭水化物は光合成で作られます。光合成をしている葉緑素は窒素と炭水化物から合成されます。(そしてその中核にMgが後から入り込んで完成!)

つまり窒素がなければ葉緑素の合成スピードも低下し炭水化物の産生量も減ってしまいのです。

ってことは赤い色素の原料である有機酸も葉に蓄積してこないということになります。

また硝酸の制限をすると、一時的に炭水化物は余り確かに赤くはなりますが、そもそも窒素が少ない状態では炭水化物を産生する葉緑素が少なくなってしまうため薄っすら赤くなる程度です。

解決方法はKHを一定、底床の肥料を強化して葉の合成スピードを格段に引き上げる

・鉄を添加しても赤くない

・光量強いのに赤くならない

・水中の硝酸を制限しても大して赤くならない

・CO₂もたくさん添加してるのに赤くならない。

それは大半が

1:KHが高いまたは一定ではない

2:底床の栄養が少ない

あるいはその両方です。

砂利底床で肥料の流出があるからといって底床肥料少な目に施肥してませんか?

筆者は砂利底床にカミハタスティック睡蓮をこれでもかっていうぐらい追肥してます。(90cm水量155ℓの水槽に1回の追肥でに1箱)だってADAの手法だって肥料分の多いパワーサンドに加えてさらにアマゾニアですよ?(ロタラ滅茶苦茶、真っ赤に染まります。)

それからKHはできるだけ下げた方が良いです。できれば2dKH以下。0.5dKHが理想です。0dKHだとエビさん活動停止します。

なぜならKHはCO₂の吸収を妨害するだけでなく浸透圧にも作用するため、KHが高いと水草は肥料分を吸収するとき細胞間の濃度差を高めなければ吸収することが出来なくなってしまいます。

また植物は炭水化物とカリウムから濃度差をつくります。この濃度差は細胞間の半透膜を境に作り出されます。KHが水替えのたびに変わると水草はそのKH見合った濃度差を作り出すために再合成を行わなければならず、そこに炭水化物やカリウム、窒素が振り分けられるので一向に赤くならないどころか、萎縮し成長さえストップしてしまいます。なので一見カリウム不足っぽく見えるのですがじつは萎縮の原因はこれ多い気がします。ソイルが古くなってくると発現しますよね。

底床肥料が強化されるとロタラh`raの成長がこんな風に変わります

上の写真は初期肥効が遅れてしまったロタラh`ra(硝酸濃度5ppm)KH:2.0dkh
砂利育成33日目のロタラh`ra
こちらは上の写真のロタラh`raに底床肥料を施肥、10日後の様子。ちなみにまだトリミングは1回もやっておりません。(肥料流出で硝酸濃度は10ppm)KH:2.0dkh  とくに夜間は分かりやすく、閉じている葉の枚数が多ければ多いほど葉の合成速度が速いことが分かります。夜間に葉が開きっぱなしは論外です。すぐ肥料を用意しましょう。
上の写真から3日後。この状態のまま水中の硝酸を減らせば健康なままさらに濃い赤になっていきます。もちろん底床は砂利です。これを底床肥料強化した上で差し戻せば下から上まで真っ赤なロタラh`raの完成です。背が高くなっても下側は赤いまま成長していきます。ちなみにKH2.0の浄水です。

一目瞭然ではないでしょうか?

水質パラメータは一切変えていませんし、光量も液肥の添加も変更しておりません。

硝酸濃度は減るどころか増えて10ppm以上です。制限はしておりません。(制限すればさらに濃くなります)

もちろん鉄肥料も与えてません。

やったことはカミハタスティック睡蓮を底床に埋め込んで肥効の間を埋めるために普段添加しているトロピカ緑液5プッシュ分注射。底床肥料を強化しただけです。

底床の肥料が豊富にあると合成スピードが速くなりそのため葉緑素の多い元葉がしっかり作られます。さらに元葉の産生量が加速すると次の新芽の合成も早くなり光合成の拡大産生とも言えるような状態になっていくわけです。

このように生育していくと葉にたくさんの有機酸が貯蔵され鉄と結びつき濃く赤くなっていくわけです。

底床の栄養を強化しつつ下の写真のようなロタラhraを一度切ってその底床に植えなおせば、下側から強化された葉の状態で植え付けられるので底から上まで赤いロタラの完成です。低い草姿を維持したままボリュームのあるロタラhraの茂みも作れます。ぜひ砂利底床でも真っ赤なロタラをチャレンジしてみてくださいませ!